暮しの手帖社(本社:東京都千代田区)より、雑誌「暮しの手帖」を大橋鎭子と共に創刊し、数々の企画を立ち上げて世に名編集長と呼ばれた、花森安治選集が刊行されます。5月下旬、第1巻を発売。7月には第2巻、さらに9月には第3巻の発売が予定されています。
(※以下、株式会社 暮しの手帖社プレスリリースより)
2016年、大橋鎭子が主人公のモチーフとなったNHKの連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で、花森安治(劇中では唐沢寿明さん演じる花山伊佐次)が手がけた企画「商品テスト」や「戦争中の暮しの記録」が再注目されました。翌17年には、東京の世田谷美術館を皮切りに全国4館を巡回した展覧会「花森安治の仕事——デザインする手、編集長の眼」が開催され、表紙画やヴィジュアル的な表現についても新聞や雑誌、テレビ番組などで立て続けに話題となりました。
記事の編集・執筆に加え、誌面をレイアウトして表紙画やカットまで描く編集長とあって、これまでさまざまな側面から語られてきた花森。このたびの新刊は、「暮しの手帖社」とその前身「衣裳研究所」から発表した随筆・評論・ルポルタージュから成る、花森安治を「読む」三部作です。
5月下旬刊行!『花森安治選集』第1巻「美しく着ることは、美しく暮すこと」
第1巻では、これまで、あまり知られてこなかった花森の一面、新進気鋭の服飾評論家として活躍した、戦後間もない『暮しの手帖』創刊前後の作品に焦点を当てています。花森は、ミシンがなくても和服地で簡単に作れる「直線裁ちの服」を考案。知恵と工夫次第であなたはもっと美しくなれると呼びかけました。また「着るもの」を通して「ほんとうのおしゃれ」とは何かを説き、戦時中、もんぺ姿を強いられていた女性たちのおしゃれ心に、あかるい希望の灯をともしていきました。
本書にはそんな、当時、洋装の入門書としても愛された貴重な著作をたっぷりと収録しています。
会員向け小冊子『衣裳』(1948年第1号刊)ほか、これまで長らくお目にかけることのなかった、当社秘蔵の原稿も掲載します。
第1巻収録作品から
7月中旬刊行予定『花森安治選集』 第2巻 「ある日本人の暮し」
激動の昭和を懸命に生きる市井の人々をとらえた、哀歓あふれるルポルタージュ。
『暮しの手帖』に1954年から連載された「ある日本人の暮し」を中心に、掲載時は無記名だった文章を今回あらためて花森の執筆記事として認定し、収録します。
※刊行日は変更する場合があります。
9月下旬刊行予定 『花森安治選集』第3巻「ぼくらは二度とだまされない」
あたりまえの暮しを守るため、ペンを武器に国や大企業に抗った魂のメッセージ。
特集「戦争中の暮しの記録」巻頭収録の「戦場」(1968年)や、「見よぼくら一銭五厘の旗」(1970年)など、ジャーナリスト・花森の矜持を知る作品群です。
※刊行日は変更する場合があります。
■著者について
花森 安治(はなもり やすじ)
1911年神戸市に生まれる。神戸三中から島根県の旧制松江高等学校へ進み、東京帝国大学美学美術史学科を卒業。徴兵で出征後、病を得て除隊。のちに大政翼賛会宣伝部に勤める。
無謀な戦争の教訓から、敗戦後の1948年、大橋鎭子とともに『暮しの手帖』を創刊。編集長として、企画、執筆、レイアウトはもちろん、表紙画やカットも手がけた。生涯、暮しを守る立場をつらぬき、雑誌を通して、戦後の日本に少なからぬ影響を与えた。1978年没。
■『暮しの手帖』とは?
戦後まもない1948年に創刊した「生活総合誌」。「庶民の暮らし」に常に寄り添い、「広告を入れないこと」やレシピ・手芸・工作など「全品試作・実証」のスタイルを貫き続けています。
「100号毎に新世紀を迎える」独自の号数呼称は、初代編集長・花森安治の発案であり、「初心に立ちかえって、フレッシュな気持で、これからの号を作ってゆくために」「つまり、もっと〈よい雑誌〉にしたい」という意志が込められたもの。最新号は2020年5月25日発売の「第5世紀6号」。隔月刊、奇数月25日発売。