地上波放送予定も掲載!「2018 FIFAワールドカップ ロシア大会」注目ニュースまとめ《後編》

Komachi Webでは、「2018 FIFAワールドカップ ロシア大会」を戦う日本代表チームや、その他、大会にまつわる注目ニュースを配信します。これを読めば今回のワールドカップがより一層楽しくなること間違いなし!地上波の放送予定も掲載していますので、視聴の計画を立てるのにも便利ですよ。ぜひお楽しみに。

目次

※本連載は終了しました。

前編はこちらから→ 「2018 FIFAワールドカップ ロシア大会」注目ニュースまとめ《前編》

記事提供:(株)東京ニュース通信社

【第20回】【W杯・決勝】輝くのは新スター・ムバッペか、希代のファンタジスタ・モドリッチか? いよいよ最後の激闘へ!

2018年7月15日(日)公開

写真:AP/アフロ

激闘の1カ月もいよいよファイナルを迎える。ロシアワールドカップ決勝へと勝ち進んできたのは、1998年大会以来となる2度目の優勝を目指すフランスと、同年の大会で初めてW杯に出場し、今回初の決勝へとたどり着いたクロアチアだ。

まずはここまでの両チームの軌跡を簡単に振り返ってみたい。グループCだったフランスは、初戦のオーストラリアに2-1で競り勝つと、続くペルー戦でキリアン・ムバッペが大会初ゴールを決めて1-0で勝利。2連勝で決勝トーナメント進出を決めると、第3戦のデンマーク戦はGKウーゴ・ロリスら主力を休ませ、0-0で引き分けた。グループステージ3試合を見る限り、目立ったのは手堅さであり、勢いが出たのはむしろ決勝トーナメントに入ってからだ。

ラウンド16では、リオネル・メッシ率いるアルゼンチンと対戦すると、4-3で撃ち合いを制する。ここで覚醒したのがムバッペだった。類いまれなるスピードを生かして先制点となるPKを獲得しただけでなく、後半には自ら2得点をマーク。メッシが無得点に終わる中、3得点に絡んだ新鋭の活躍に、世界は世代交代の瞬間を目の当たりにした。これで波に乗ったフランスは、準々決勝でウルグアイを撃破(2-0)。準決勝では、同じく快進撃を見せていたベルギーに1-0で勝利した。その準決勝のベルギー戦で際立ったのは、チームとしての対応力だ。可変システムを採用するベルギーが、攻撃時に右WBのナセル・シャドリを高い位置に張らせていると、中央でプレーしていたMFブレーズ・マテュイディをマークに付けることで、相手の攻撃的特徴を打ち消す。後半6分にセットプレーからDFサミュエル・ウンティティがゴールを奪うと、その後は守備的な戦い方を選択。相手にボールを持たせてもペナルティーエリアに侵入させない守備網を築き、パワープレーにも完璧に対応すると、1-0の完封勝利で決勝進出を決めた。

グループDのクロアチアもまたアルゼンチン戦で確かな手応えをつかんだのかもしれない。第1戦でナイジェリアに2-0で勝利したクロアチアは、第2戦でアルゼンチンと激突。フィジカル全盛といわれるこの時代にあって、テクニックで勝負するルカ・モドリッチが、この試合で見せる。モドリッチは後半35分に巧みなフェイントで相手DFを外すと、強烈なミドルシュートをゴールに突き刺したのである。試合終盤にも、もう1人のテクニシャン、イヴァン・ラキティッチが追加点を挙げたクロアチアは3-0で勝利。これでチームの結束力を高めたクロアチアは、第3戦でアイスランドに2-1で勝利し、フランスと同じく1位通過を果たした。

決勝トーナメントに入り、フランスは勢いに乗ったが、クロアチアが見せたのは執念であり、粘り強さだった。ラウンド16ではデンマーク、準々決勝では開催国ロシアと対戦したが、ともにPK戦の末、次への切符をつかむ。2試合連続での延長戦に、選手の疲労も心配されたが、準決勝のイングランド戦でも底力を見せる。前半5分にFKから先制点を奪われるも、巻き返したクロアチアは、後半23分にイヴァン・ペリシッチが同点弾を決めると、延長戦に持ち込む。そして、延長戦ではサイドチェンジを巧みに使って攻め込むと、延長後半4分にマリオ・マンジュキッチが決勝弾をたたき込み、初の決勝進出を勝ち取った。

対応力に優れたフランスか、それとも粘り強さを見せるクロアチアか。決勝は、好ゲームの多かった今大会にふさわしい好カードとなった。クロアチアはモドリッチとラキティッチが中央でゲームを作り、サイドから攻撃を仕掛けていくが、フランスは前線から守備をするオリヴィエ・ジルーやアントワーヌ・グリーズマン、さらには中盤の底を担うエヌゴロ・カンテらの守備で防いでムバッペのスピードを生かそうとするだろう。一方のクロアチアは、フランスの強固な守備をかいくぐり、サイドへ展開すると、ペリシッチ、アンテ・レヴィッチや左サイドバックのシメ・ブルサリコのアーリークロスからマンジュキッチがフィニッシュする形を狙うはずだ。組織としての柔軟性を生かして勝ち上がってきたフランスが、クロアチアのほころびをいち早く見つけて仕留めるのか。それとも、クロアチアがテクニックでそれを凌駕するのか。無得点で試合が推移していけば、粘り強いクロアチアの時間帯が来るかもしれない。

勝つのは2度目の優勝をもくろむフランスか、それとも20年に一度、新王者が誕生するジンクス通りにクロアチアが初優勝を飾るのか。活躍するのは、新スターと呼ばれるムバッペか、それとも希代のファンタジスタ・モドリッチか。1カ月にわたる激闘にいよいよ決着がつく。

文/原田大輔

【放送スケジュール】

ベルギー×イングランド(3位決定戦)

7月14日(土)
テレビ朝日系 午後10:10~深夜2:00

7月15日(日)
NHK BS1 午後7:00~8:50(録画)

フランス×クロアチア(決勝)

7月15日(日)
NHK総合 午後11:45~深夜2:30

7月16日(月)
TBS系 午前9:55~午後0:30(録画)
NHK BS1 午後3:00~4:50(録画)

【第19回】【W杯・準決勝】20年周期で初優勝国が誕生している!? 日本を撃破したベルギーが勝てば史上初の決勝進出

2018年7月10(火)公開

写真:AP/アフロスポーツ

ロシアワールドカップ準々決勝では、サッカー王国ブラジルが消え、ウルグアイも涙をのんだ。結果、ベスト4へと駒を進めてきたのは、欧州で開催している大会らしく、すべてが欧州勢となった。1カ月にわたって繰り広げられるワールドカップも残すところ4試合。準決勝のカードはフランス対ベルギー、クロアチア対イングランドになった。

7月10日に行われるのは、自国開催だった1998年以来の優勝を目指すフランスと、初の決勝進出に挑むベルギーである。準々決勝でウルグアイを破ったフランスは、19歳の新鋭キリアン・ムバッペが注目を集めるが、それ以上に際立つのが、組織としての老獪さだ。決して経験豊富な選手たちで構成されているわけではないが、ここまでの戦いを振り返れば、試合巧者という言葉が際立つ。

中盤の底に位置するエヌゴロ・カンテは卓越した戦術眼を生かして攻撃の芽を確実につぶしていく。セカンドボールにもいち早く反応してボールを拾うことから、まるで痒いところに手が届く“まごのて”のような選手だ。2列目を担うアントワーヌ・グリーズマンにしても攻撃に目が行きがちだが、前線から守備をする献身性と、おとりになる犠牲心がある。右サイドやゴール前でムバッペが輝けるのも、そうした選手たちのお膳立てがあってこそ。

ベルギーも個と組織の力を融合させることで、ここまで勝ち進んできた。日本戦で見せた終了間際の高速カウンターは、その完成度の高さに声も出なかった。それでいて準々決勝ではケヴィン・デ・ブライネの鮮やかなミドルシュート、エデン・アザールのキープ力と個の力を生かして、あのブラジルを打ち破ってきた。そのブラジル戦では、前半のうちに2点のリードを奪ったこともあり、27本ものシュートを浴びたが、それもGKティボー・クルトワを中心とした組織でしのぎきった。

そんな両者の対戦は、慎重な入りというよりも、キックオフからアクセル全開の展開になりそうだ。組織でボールを回して相手のほころびを探し、個の力で隙を突いていく。準々決勝ではムバッペ、ルカクの両エースに得点はなかったが、ともにDFの背後をうまく突ければ、好機を迎えることだろう。フランスが勝てば、あのジネディーヌ・ジダンが頭突きをしてピッチを去った2006年大会以来、ベルギーが勝てば史上初の決勝進出となる。

準決勝もう一つのカードはクロアチア対イングランドだ。準々決勝の戦いを見れば、こちらは慎重な立ち上がりになりそう。ともにボールを保持しつつ、パスを回してゴール前に侵入していくスタイルも、そうした流れを助長しそうだからだ。

イングランドは、準々決勝のスウェーデン戦やグループステージの得点パターンを見る限り、セットプレーに活路を見出してきそうだ。FWハリー・ケインだけでなく、スウェーデン戦でヘディングシュートを決めたDFハリー・マグワイアと空中戦に強い選手がいる。キーラン・トリッピアー、アシュリー・ヤングのウィングバックは、キックの精度も高いだけに、流れの中からのクロスも有効。クロアチアDF陣としては、とにかくケインのマークを逃さないことだろう。加えてラヒーム・スターリング、デレ・アリというスピードスターもいるだけに、背後も注意しなければならない。DFにとっては厄介だろう。

そのクロアチアは、ルカ・モドリッチとイヴァン・ラキティッチが担う中央からのゲームメークが鍵を握る。特にモドリッチから、左サイドのイヴァン・ペリシッチへと展開されれば好機となるだけに、イングランドとしては未然に防ぎたいところ。そのモドリッチを見るのは、MFジョーダン・ヘンダーソンになりそうだが、イングランドは全体的に攻撃的な選手が多く、ヘンダーソン1人でモドリッチを見る機会が増えると、決定機を作られそうな予感も漂う。お互いにシステムの欠点をどう補ってくるのか。そこが勝敗の焦点になりそうだ。

一つクロアチアの懸念を挙げるとすれば、2試合連続で延長、PK戦を戦っており、中3日でどれだけ回復できているかだ。イングランドが勝てば、自国開催で唯一優勝した66年大会以来の決勝進出、初出場となった98年大会の3位が最高のクロアチアは初の決勝進出となる。

最後に面白いデータを紹介したい。今大会でワールドカップは21回目の開催となるが、実は20年周期で初優勝国が誕生している。もちろん、その間で初優勝しているチームもあるのだが、98年大会ではフランス、78年大会ではアルゼンチン、58年大会ではブラジルが、それぞれ初戴冠を果たしている。今大会は、フランスが初優勝した98年からちょうど20年。果たして初めてワールドカップの歴史に名を刻む国が現れるのだろうか……。

文/原田大輔

【放送スケジュール】

フランス×ベルギー

7月10日(火)
NHK総合 深夜2:45~翌午前5:00(生中継/キックオフ 深夜3:00)

7月11日(水)
NHK BS1 深夜0:50~2:30(録画)

クロアチア×イングランド

7月11日(水)
テレビ朝日系 深夜1:10~翌午前5:10(生中継/キックオフ 深夜3:00)

7月12日(木)
NHK BS1 午後7:00~8:50(録画)

【第18回】【W杯・準々決勝】欧州勢6&南米勢2の強豪が進出。スアレスとムバッペ、両エースの対決は必見!

2018年7月6(金)公開

写真:長田洋平/アフロスポーツ

多少の波乱はあったとはいえ、蓋を開けてみれば、強豪が順当に勝ち進んでいる。前回王者・ドイツこそ早期敗退したが、フランスやブラジルといった優勝候補は、軒並み勝ち上がってきた。準々決勝に進んだ顔ぶれを見れば、欧州勢が6、南米勢が2。その他地域のチームはいないだけに、いまだベルギーに善戦した日本が、ここにいればと思わざるを得ない。世界の8強が繰り広げる準々決勝のカードは、ウルグアイ対フランス、ブラジル対ベルギー、スウェーデン対イングランド、ロシア対クロアチアである。

日本対ベルギーの一戦を見ただけでもお気付きだろうが、決勝トーナメントは、グループステージとは大きくテンションが異なる。選手たちのギアが一段上がったとでも表現すればいいだろうか。強豪ほどコンディションを上げてくるだけに、スピードやデュエル、さらにはコンビネーションの精度は、これまでと桁違いだ。

そのギアがさらに上がる準々決勝で、最初に登場するのは、クリスティアーノ・ロナウド擁するポルトガルを退けたウルグアイと、アルゼンチンのリオネル・メッシに引導を渡したフランスだ。

注目は何と言ってもフランスの若き至宝、キリアン・ムバッペだろう。アルゼンチン戦で2得点した19歳は、メッシに取って代わるニュースターとして期待を集めている。欧文で「MBAPPE」と表記することから、日本では「ムバッペ」とも「エムバペ」とも呼ばれており、その発音を巡っては論争が起こったほど。ここではムバッペで通すが、この19歳の何がすごいかというとスピードだ。それもボールを持った時のスピードが“めちゃくちゃ”に速いのだ。

ただ、対戦するウルグアイは、ここまで失点わずか1と強固な守備も魅力の一つ。キャプテンでセンターバックを担うディエゴ・ゴディンは、ムバッペのスピードを消そうと当然、対策を講じてくるはずだ。

一方のウルグアイにも偉大なる点取り屋、ルイス・スアレスがいる。スピードではムバッペに劣るが、ゴール嗅覚はより優れている。DFとの駆け引きと動き出しは秀逸で、コースを狙ったシュートも打てれば、強烈なシュートも狙うことができる。2トップを組むエディンソン・カバーニとの連係もよく、ポルトガル戦では2人のコンビネーションから圧巻のゴールを決めている。

ただ、スアレスの相棒で、もう1人の得点源であるカバーニは、ポルトガル戦で負傷。フランス戦の出場が危ぶまれているだけに、欠場すれば攻撃力は半減しそうだ。一方のフランスも、2列目を担うMFブレーズ・マテュイディが累積警告により出場できないのが痛手となる。互いにムバッペとスアレスを警戒するだろうが、それでも決定的な仕事をするのがエース。どちらがチームを準決勝へ導く歓喜の雄叫びをあげるのか。両エースの対決に注目が集まる。

強さを見せるサッカー王国か、それともうまさ際立つ赤い悪魔か。悔しいかなブラジル対ベルギーの一戦は見応えがありそうだ。まずブラジルは、間違いなくギアが上がっている。FWネイマールやMFコウチーニョを中心とした圧巻の攻撃力と、ここぞという場面で駆け上がって行くパワーはすさまじい。なかなか欠点を探すのは難しいが、唯一の懸念を挙げるとすれば、中盤の掃除屋、カゼミーロがこの試合で出場停止ということだろうか。ただ、カゼミーロがいなくても遜色ない動きができるフェルナンジーニョがいるところに、ブラジルの強さと層の厚さを感じるのだが……。

日本を破ったベルギーには勝ち進んでほしいが、勢いに乗るブラジルを倒すのは至難の業だ。ただベルギーは、日本戦でも見せたように、パスサッカーに加えて、セットプレーやカウンターと、さまざまな形から得点を狙える器用さがある。190cmを超えているFWロメル・ルカク、MFマルワン・フェライーニ、DFヴァンサン・コンパニらの高さを生かすのも手段の一つと言えそうだ。

スウェーデン対イングランドは欧州勢同士ということもあって手堅い展開になりそうだ。スウェーデンはデンマークに1-0、イングランドはコロンビアにPK戦で勝ち、何とかベスト8に駒を進めてきた。

イングランドは一つ鬼門を突破したかもしれない。なぜならワールドカップにおいて、これまでPK戦で一度も勝ったことがなかったからだ。それだけにPK戦を制して準々決勝に進出したことで、呪縛からも解き放たれているはず。FWハリー・ケインはコロンビア戦でもゴールを決め、6得点で大会得点王を突っ走っている。

試合はおそらくイングランドが主導権を握りそうだが、守備が特徴であるスウェーデンからしてみれば想定内。耐えれば耐えるほど、スウェーデンペースになっていくだけに、イングランドとしては早い時間帯でゴールをこじ開け、スウェーデンを前に引きずり出したい。

最後は、開催国ロシアとクロアチアが激突する一戦だ。FIFAランキングは70位、直前のテストマッチも散々だったロシアは、今大会最大のサプライズを起こしている。ベスト16では、スペインに先制されるも追いつくと、粘り強いとしか表現できない守備で守り抜き、最後はPK戦を制して勝ち上がった。試合終盤、スタニスラフ・チェルチェソフ監督や選手たちが両手を振り、観客に声援をお願いする姿は感動的で、そのパワーにスペインも屈したところがある。

一方のクロアチアもデンマークとのPK戦を制して勝ち上がってきているが、延長やPK戦にもつれ込めば、会場の雰囲気に飲まれる可能性はある。それだけに90分で試合を決めたいところだろう。なりふり構わず戦ってくるロシアは、196cmの長身FWアルテム・デューバに潔くボールを合わせてきそう。それに対して、MFルカ・モドリッチ、MFイヴァン・ラキティッチらテクニシャンがそろうクロアチアは、巧みなパスワークでゴールをこじ開けられるだろうか。開催国の躍進はどこまで続くのか。奇跡を起こし続けるロシアに、クロアチアが挑むことになる。

文/原田大輔

【放送スケジュール】

ウルグアイ×フランス

7月6日(金)
TBS系 午後10:00~深夜1:10(生中継)

7月7日(土)
NHK BS1 午後1:00~2:50(録画)

 

ブラジル×ベルギー

7月6日(金)
TBS系 深夜2:40~5:15(生中継)

7月7日(土)
NHK BS1 午後7:00~8:50(録画)

スウェーデン×イングランド

7月7日(土)
NHK総合 午後10:53~深夜1:00(生中継)

7月8日(日)
NHK BS1 午後4:00~5:50(録画)

 

ロシア×クロアチア

7月7日(土)
NHK総合 深夜2:45~翌午前5:00(生中継)

7月8日(日)
NHK BS1 午後7:00~8:50(録画)

【第17回】【W杯・決勝トーナメント】香川真司、大迫勇也ら攻撃陣の勝負強さを見たい! 史上初のベスト8へ

2018年7月2(月)公開

写真:長田洋平/アフロスポーツ

 最後まで勝負するべきか、それとも結果にこだわるべきか。ポーランドとのグループステージ第3戦で、西野ジャパンがとった終盤の戦い方に賛否両論が巻き起こっている。これはサッカーという競技を通り越して、それぞれの人生における価値観や美学の違いとでも言えばいいだろうか。両極ともいえる、異なる考えを持つ人間が、歩み寄ることはそうそうできない。

ただ、一つ言えるのは、われわれはロシアワールドカップで西野ジャパンの続きが見られるということだ。ポーランド戦での日本は、0−1で負けている状況ながら、他会場の結果を受け、フェアプレーポイントによる決勝トーナメント進出に懸けた。それは強者であるポーランドに対して、残り時間が少ない状況で追いつくのは難しいとの判断であり、0−1で終えることが、先に進むために最も確率が高いと考えた結果であった。どちらの姿勢をとっても敗退すれば批判される状況の中、西野朗監督は結果を優先し、その勝負にすら勝ったのである。

ラウンド16の一戦は、ロストフ・ド・ナヌを舞台に7月2日(日本時間で2日深夜3時)に行われる。対戦相手は、これまた世界屈指の強豪と言われるベルギーだ。3連勝でグループGを1位通過したベルギーは、第3戦でスタメン9人を入れ替えながらイングランドに勝利したように、まさにタレントの宝庫。中盤にはMFエデン・アザールとMFケヴィン・デ・ブライネというテクニシャンを擁し、最前線には190cmの長身を誇るFWロメル・ルカクがいる。守備陣にもトッテナムでプレーするトビー・アンデルヴァイレルト、ヤン・ベルトンゲンが構え、けがで調整が遅れていたDFヴァンサン・コンパニもイングランド戦で復帰するなど、万全の状態にある。その中でも特筆すべきは、グループステージ3試合で9得点という決定力にある。うち4得点を挙げているエースのルカクは、巨漢ながら動き出しの速さとラストパスの受け方が抜群にうまく、吉田麻也、槙野智章、もしくは昌子源のセンターバックが後ろ向きで守る状況になれば、失点する可能性は一気に高まる。それでいてルカクは、状況に応じてアシストに徹する献身的なプレーもするだけに、マークをする日本の守備陣にとっては厄介な相手だろう。これまでラダメル・ファルカオ、エムバイエ・ニアン、ロベルト・レヴァンドフスキと、名だたるFWと対峙してきた日本だが、高い・強い・うまいの3拍子がそろったルカクが、最もイヤな相手かもしれない。

ベルギーはチーム戦術も洗練されていて、容易には勝てない相手だが、日本もポーランド戦で先発6人を入れ替えた選択が、ここで生きそうだ。香川真司や原口元気のコンディションも回復していれば、セネガル戦で見せたような運動量と俊敏性で相手を凌駕できるはず。

ここまで来たら勝負を決めるのは、決定機を確実に仕留める精度になる。グループステージではチャンスを作るも、いま一つ決め切れていないだけに、香川、大迫勇也、岡崎慎司、乾貴士らフィニッシュに顔を出す選手に勝負強さを見せてもらいたい。

日本がベルギーに勝利できれば、ベスト8で対戦するのは、ブラジル対メキシコの勝者となる。優勝しか眼中にないブラジルは、例によって試合を重ねるごとに選手たちのコンディションが上がっている様子。被ファウル数が1位のネイマールは、反則覚悟でなければ止められず、2列目のコウチーニョとパウリーニョは神出鬼没。中盤の底に君臨するカゼミーロは、守備のあらゆる場面に顔を出し、相手の攻撃を食い止める。

まさにうまいだけではなく、強いブラジルに対して、グループステージ初戦で前回王者ドイツから大金星を挙げたメキシコはどう挑むのか。メキシコの武器は走力であり、それを活かしたプレスであることに間違いはない。ドイツ戦で見せた芸術に近い巧みなカウンターでブラジルから得点を奪うのか。それとも、ブラジルが格の違いを見せつけるのか。ラウンド16屈指の好カードだ。

7月3日には、グループF1位のスウェーデンと、グループE2位のスイスという欧州勢同士が相まみえる。スイスは初戦でブラジルに引き分けたように、粘り強さが特徴。そのブラジル戦も前半にリードされながら後半5分に追いつき、セルビアとの第2戦でも後半45分にジェルダン・シャキリが決勝点を挙げて勝ち進んできた。

一方のスウェーデンも3試合で挙げた5得点のうち4得点が後半と、徐々にパワーを発揮する傾向にある。そんな両者の対決は、後半に試合が動きそうな予感が漂う。決めるのはスウェーデンのハイタワー、オラ・トイボネンか、それともスイスの重戦車シャキリか。手堅い試合が予想されるだけに1点が大きくものをいいそうだ。

ラウンド16最後のカードは、コロンビア対イングランドのこれまた好カードだ。初戦で日本に敗れたため、印象が薄くなっているかもしれないが、最終的に1位通過したコロンビアはやはり強い。ただ、司令塔のハメス・ロドリゲスが、セネガル戦の前半31分にけがで退いてしまったこともあり、彼の出場有無が鍵を握る。ハメス・ロドリゲスは、フアン・クアドラードのスピードを生かせば、ファルカオの得点を演出。正直、彼の代えは利かない。

対するイングランドは、若手が多く、経験不足は否めないが、グループステージを見ても分かるように勢いに乗ったら止められないのも事実。FWハリー・ケインは本当に分かっていても止められない強さがあり、その爆発力はすでに5得点と今大会屈指。スピードのラヒーム・スターリング、テクニックのジェシー・リンガードと、タイプの異なる攻撃陣をそろえるだけに、優勝とはいわずとも、かなりの躍進を筆者は期待している。やや安定感には欠けるが、見ていてワクワクさせるようなダイナミックさがイングランドにはあるのだ。攻撃対攻撃——その凌ぎ合いの中で起こる一対一の競り合いは、この試合最大の見どころとなるだろう。

最後にもう一度、日本代表に触れたい。大会が始まるまで3戦全敗が確実視されていた彼らは、自分たちの弱さを認めた上で、特長を生かそうと模索し、勝てる方法を導き出した。そして、2大会ぶりの決勝トーナメント進出を勝ち取った。次こそがすべてを出し切り、すべてぶつける舞台である。日本サッカーがまだ見ぬベスト8という景色を彼らには見せてもらいたい。

文/原田大輔

【放送スケジュール】

ブラジル×メキシコ

7月2日(月)
NHK総合 午後10:45~深夜1:00(生中継)

7月3日(火)
NHK BS1 午後4:00~5:50(録画)

ベルギー×日本

7月2日(月)
NHK総合 深夜2:45~翌午前5:00(生中継)

7月3日(火)
NHK BS1 深夜0:50~2:30(録画)

スウェーデン×スイス

7月3日(火)
テレビ朝日系 午後10:10~深夜1:56(生中継)

7月4日(水)
NHK BS1 午後4:00~5:50(録画)

コロンビア×イングランド

7月3日(火)
NHK総合 深夜2:45~翌午前5:00(生中継)

7月4日(水)
NHK BS1 深夜0:50~2:30(録画)

【第16回】【W杯・決勝トーナメント】デニス・チェリシェフらが活躍の開催国ロシアの快進撃は続くか? 優勝候補フランス×アルゼンチンが早くも激突!

2018年6月30日(土)公開

写真:AP/アフロ

6月14日に開幕したロシアワールドカップもグループステージを終えて、いよいよ決勝トーナメントに突入する。ここからは一発勝負のノックラウンド形式で、90分で決着がつかなければ延長戦、それでも決まらなければPK戦が待っている。勝てば歓喜、負ければ絶望、ピッチではまさに天国と地獄の両方が同時に描かれることになる。

前回王者ドイツの敗退など、波乱もあったグループステージを突破した16チームのうち、最初に登場するのは、グループCを1位通過したフランスと、辛くも2位でグループDを突破したアルゼンチンである。

いきなり優勝候補同士の激突だが、グループステージの戦いを見る限り、その出来は両極端だ。フランスがFWアントワーヌ・グリーズマン、MFキリアン・ムバッペの活躍で2連勝を飾り、危なげなくグループステージを突破したのに対して、アルゼンチンは大苦戦。初戦のアイスランド戦ではリオネル・メッシがPKを外し、1−1の引き分け。続く第2戦ではクロアチアに0−3と完敗して内部崩壊が起こる事態に。第3戦でようやくメッシが鮮やかなゴールを奪うと、試合終了間際にDFマルコス・ロホが決勝弾を挙げて勝利したが、どこかいっぱいいっぱいで、ギリギリ感が漂っている。

特にアルゼンチンは、メッシのチームということが裏目に出ている。周囲がメッシに敬意を払い、意識するあまり、相手からしてみたらマークする的が絞りやすい。加えて守備はお世辞にも強固とはいえず、ミスやポジショニングの甘さが散見する。

対するフランスは、チームとしての組織力と、チームの中で活きる個性のバランスが非常に良い。中盤の底に構えるMFエヌゴロ・カンテは、肺がいくつもあるのではと思えるほどスタミナが無尽蔵で、あちこちでボールを回収。それだけにメッシへと供給されるパスも確実に寸断してくるだろう。得点にしても、ムバッペがDFの隙を突き、グリーズマンが仕留める予感が漂う。それでも、やはりアルゼンチンにはメッシがいると言わざるを得ない。メッシには一瞬の輝きでゴールを決める力があるだけに、当然ながら予想を覆す可能性もある。

6月30日に行われる2試合目では、グループAを首位通過したウルグアイと、グループBを2位通過したポルトガルが激突する。ウルグアイにはFWルイス・スアレスと、FWエディンソン・カバーニ、ポルトガルには言わずとしれたFWクリスティアーノ・ロナウドという大エースがいる。

ウルグアイのスアレスは2試合連続得点中で、カバーニにしても休養も予想されていた第3戦に出場して、今大会初ゴールをマークした。一方のC・ロナウドも、メッシとはこれまた対照的に、スペインとの初戦のハットトリックを含む4得点を上げて好調を維持している。ただ、個ではなく、チームという単位で試合を見たとき、ウルグアイは3試合無失点。一方のポルトガルは3試合で5失点というデータが気になる。戦前のポルトガルは堅守速攻と言われ、守備の安定感も強さの一つとされていたが、その堅守ではウルグアイに分がある。ウルグアイが押し込み2トップが決めきるのか、それともスキを突いてポルトガルのエースがカウンターを仕掛けるのか。それぞれ強みの異なるチーム同士の対戦は、どちらがストロングポイントを発揮するかが楽しみだ。

7月1日は、開催国ロシアが登場する。しかも対戦相手は優勝候補の一角であるスペイン。この好カードに、会場となるモスクワのルジニキ・スタジアムは大いに沸き、盛り上がることだろう。FIFAランキングでは66位と、史上最弱の開催国とまで言われていたロシアだが、蓋を開けてみれば、地元の大声援も手伝って快進撃。左サイドを担うデニス・チェリシェフは、途中出場したサウジアラビア戦で2得点、続くエジプト戦でも貴重なゴールを決めており、ちょっとしたブレーク候補になっている。さらに前線にはFWアルテム・デューバという長身ストライカーがいるのだから、スペイン戦はちょっと面白くなりそうだ。このデューバは196cm、90kgととにかくでかいのだ。その大きさは、テレビで見ていてもすぐに分かるほど。エース潰しで有名なスペインのDFセルヒオ・ラモスがどう抑えるのか。このエアバトルにも注目だ。

大会直前に指揮官を交代して不安視されていたスペインは、それでもスペインだった。巧みなパスワークは健在で、そのうまさは大会屈指。ただ、イージーミスから失点を喫するなど、どこかその強さにスキがあるのは気になるところ。順当に行けば、スペインが圧倒的に有利だが、絶対にスペインが勝つと言い切れないもろさがどこかにある。

同日はもう一つ、クロアチア対デンマークの試合が組まれている。これは何とも玄人好みしそうなカードだが、クロアチアの組織力と、チームを操る司令塔ルカ・モドリッチのテクニックはぜひ見てもらいたい。特にモドリッチは、アルゼンチン戦での強烈ミドルが記憶に焼き付いている人も多いだろう。あの絶妙な切り返しと、コースをついた的確なシュートには目が覚めたはず。その華麗なテクニックが再び見られるか。クロアチアはMFイバン・ペリシッチ、FWマリオ・マンジュキッチと、速いもしくは強い選手がごろごろいるだけに、そのうまさを堪能してほしい。

もちろん、デンマークにもテクニシャンがいる。トップ下を担う背番号10のMFクリスティアン・エリクセンだ。エリクセンは得点力もあるだけに、一撃に期待できそう。デンマークはDFシモン・ケアを中心に守備も強固なだけに、互いの戦術の欠点を探る見応えのある1試合になりそうだ。

文/原田大輔

【放送スケジュール】

フランス×アルゼンチン

6月30日(土)
TBS系 午後10:40~深夜1:10(生中継)

7月1日(日)
NHK BS1 午後4:00~5:50(録画)

ウルグアイ×ポルトガル

6月30日(土)
NHK総合 深夜2:45~5:00(生中継)

7月1日(日)
NHK BS1 午後7:00~8:50(録画)

スペイン×ロシア

7月1日(日)
TBS系 午後10:00~深夜1:10(生中継)

7月2日(月)
NHK BS1 午後4:00~5:50(録画)

クロアチア×デンマーク

7月1日(日)
テレビ朝日系 深夜2:40~翌午前5:10(生中継)

7月2日(月)
NHK BS1 後7:00~8:50(録画)

【第15回】【W杯・日本×ポーランド】 柴崎岳が生み出す決定機、昌子源の強さ…期待せずにいられない決勝トーナメント進出は目前!

2018年6月28日(木)公開

写真:新華社/アフロ

これまでの歓喜や奮闘が報われるかどうかは、すべてポーランドとの第3戦次第だ。

ロシアワールドカップを戦う日本代表は、グループステージ第1戦でコロンビアに2−1で勝利すると、第2戦では二度のリードを許しながら追いつき、2−2の引き分けに持ち込んだ。

決着が着く第3戦を前に、グループHの状況を整理しておこう。トーナメント形式となる決勝トーナメントには、各グループの上位2チームが進出できる。日本のいるグループHは、第2戦を終えて日本が1勝1敗の勝ち点4で1位。続く2位のセネガルも1勝1敗の勝ち点4(日本とセネガルは得失点差、総得点も同じ、フェアプレーポイントにより日本が1位)で並んでいる。3位には1勝1敗のコロンビアが勝ち点3でつけており、日本が第3戦で対戦するポーランドは2敗で、すでに敗退が決定している。

それらの状況を踏まえ、日本は第3戦でポーランドに、勝ち(勝ち点3)、もしくは引き分け(勝ち点1)でも決勝トーナメントに進出できる状況にある。ちなみに第3戦は2試合が同時刻にキックオフされるが、仮に日本がポーランドに敗れたとしても、セネガルがコロンビアに勝利すれば、2位で決勝トーナメントに進出できる。もちろん、敗退する可能性もあるわけだが、第3戦に引き分け以上で先に進める状況を作り出したのは、間違いなく選手たちの健闘によるものだ。

引き分けたとはいえ、セネガル戦は見事だった。1点目を挙げた乾貴士、2点目を決めた本田圭佑の勝負強さもさることながら、特筆すべきは、日本の対応力である。

戦前の想像どおり、セネガルの選手たちは身体能力でまさっていた。だが、相手エースのエムバイエ・ニアンに狙われていたDF昌子源は、その屈強なFWに負けることなく、一対一でも勝利。左サイドを担ったDF長友佑都とMF乾貴士にしても、開始直後は、イスマイラ・サールのスピードに後手を踏んでいたが、うまく距離感をつかむと、抑える手段を導き出した。

ここでは細かい戦術の言及については避けるが、攻撃にしてもMF長谷部誠が最終ラインまで下がることで、パスのつなぎ役となり絶妙に試合をコントロールしていた。相手指揮官であるアリウ・シセも脱帽したようにFW大迫勇也のポストプレーや、長短のパスで攻撃を彩ったMF柴崎岳のセンスも際立ったが、それ以上に、試合中に見せた対応力こそが日本の強みであり、武器だった。

何が言いたいかというと、ポーランド戦でもその柔軟性であり、適応力が必ず生きるはず。正直、第3戦に臨んでくるポーランドのモチベーションは計りにくい。すでにグループステージ敗退が決定しているし、エースであるFWロベルト・レヴァンドフスキが不満を吐露し、チームワークが乱れているとの声もある。

その一方で、他グループに目を向ければ、敗退が決定しているチームが第3戦で善戦しているのも事実。失うものがなくなったポーランドも、ある意味、開き直って、本来の力を取り戻してくる可能性もある。

もともと、グループステージで対戦する3チームの中では、組織的に戦ってくるポーランドが最も組みしやすいと言われていた。パワープレーなどの力業に出てくるわけでもなければ、前線のスピードを生かしてくるわけでもなく、パスをつないで攻撃を構築してくるからだ。そうしたポーランドには、日本も組織力で対抗できるだろう。加えて2試合を見る限り、ポーランドは最も警戒すべきレヴァンドフスキにうまくパスが供給されていない。セネガルやコロンビアが封じていたように、日本も抑えられるはず。仮にポーランドがレヴァンドフスキにボールを集めてきたとしても、この大会中に成長している吉田麻也と昌子のコンビならばはね返せる。異なる戦い方を仕掛けてきたとしても、選手間で話し合い修正を図ってきている日本ならば、素早く対応方法を見つけられるはずだ。

引き分けでも決勝トーナメントに進出できる状況にあるが、狙ってドローに持ち込むのは難しい。それだけに、これまでの2試合と同様、キックオフから積極的に前に出ていく戦い方が望ましいだろう。疲労もあるため、メンバー変更もありそうだが、期待したいのは、柴崎であり、香川真司といった中央でプレーする選手たちだ。柴崎には前線やサイドへの効果的な縦パスを狙って決定機の演出を、香川にはサイドから折り返されたラストパスを決めきる働きが求められる。また前線の大迫や香川がゴール前で潰れれば、サイドの乾や原口元気、もしくは宇佐美貴史にも得点するチャンスが巡ってくる。

何より選手たちは、2試合を戦い、ポーランドとも互角以上に戦えるという自信をつかんでいるはず。コロンビア戦は数的優位による勝利、セネガル戦は押し込みながらも引き分けだった。それだけに第3戦となるポーランド戦こそ、力を出し切り勝利して、ベスト16入りを決めてもらいたい。自分たち次第で2大会ぶりとなる決勝トーナメント進出がつかめる状況にある。消極的になったり、セーフティーに戦いすぎたりすることなく、積極的にその切符をつかみにいってほしい。自分たち次第で、未来を変えられるのだから……。

文/原田大輔

【放送スケジュール】

日本×ポーランド

6月28日(木)
フジテレビ系 午後10:40~深夜1:10(生中継)

6月29日(金)
フジテレビ系 午前8:00~10:30(録画)
NHK BS1 午後8:00~9:55(録画)

6月30日(土)
BSフジ 午後2:30~4:55(録画)

【第14回】【W杯・日本×セネガル】大迫勇也の“半端ない”活躍で難敵を打ち破る! 次も準備は万端だ

2018年6月28日(木)公開

写真:AP/アフロ

サッカーは何が起こるか分からない―――。

ワールドカップには魔物が棲んでいる―――

日本代表は、サッカー界に語り継がれる名言を体現するかのようなジャイアントキリング(番狂わせ)をロシアワールドカップの初戦で起こした。

2−1で勝利した試合を見ても分かるように、コロンビアは10回対戦しても、1回勝てるかどうかの相手だった。4年前のリベンジ、大会前のチームへの批判……選手たちにはそれぞれ燃える理由があっただろうが、そうした思いと、強豪相手に一泡吹かせてやろうという戦略が、開始3分での(相手の)退場劇を引き寄せた。前半6分にPKを決めたMF香川真司のゴールを呼び込んだのも、後半28分に決勝弾を挙げて“半端ない”活躍を見せたFW大迫勇也の積極性だった。キックオフと同時に1トップを務める大迫を中心に積極的にプレスを掛けた日本の姿勢は、間違いなくコロンビアを慌てさせたし、ミスを誘発させた。

前半こそ1人少ない相手に対して、ポジショニングが甘くなり押し込まれたが、ハーフタイムに修正すると、相手の運動量が落ちた後半は巻き返した。一躍スターとなった大迫は攻撃だけでなく、後半33分には相手の決定的なシュートを自陣でブロックするなど、攻守において活躍。MF原口元気も驚異的なスプリント回数を記録したように、まさにチームのために戦った。先発に抜てきされたDF昌子源も、FWラダメル・ファルカオを90分間押さえ込み、MF柴崎岳は持ち前のパスセンスで攻撃を彩った。負ければグループステージ突破が厳しくなる初戦で、引き分けどころか勝ち点3を奪取。アジア勢として初めてワールドカップで南米勢に勝利という結果が物語るように、本当に大きな、大きな勝利だった。

ただ、これで何かが決まったわけではない。グループステージ残り2試合で2敗すれば、敗退もあり得るように、次のセネガル戦こそが重要となる。

特に第1戦では、日本の勝利も世界を驚かせたが、それ以上にセネガルの組織力と完成度の高さに驚かされた。4−4−2システムを採用するセネガルは、DFカリドゥ・クリバリを中心に、ポーランドの攻撃をシャットアウト。その洗練され、かつ機能的な守備は、以前のアフリカのそれではなく、ポーランドも手こずった。おそらく日本も簡単にはゴールをこじ開けられないであろう。

それでいて前線には、第1戦でゴールを決めているFWエムバイェ・ニアンもいれば、スピードに長けたFWサディオ・マネもいる。コロンビアとは、異なるタイプのFWを日本は抑えられるだろうか。コロンビア戦もそうだったように、身体能力で優る相手を1人で抑えるのは難しい。だからこそ、日本は走ることで、1人ではなく、2人、3人と人数を掛けて相手の突破に対応したい。キーマンとなるのは、DF長友佑都とDF酒井宏樹だ。セネガルはマネを筆頭にサイドで起点を作る。サイドバックのDFユスフ・サバリと19歳のDFムサ・ワゲも攻撃的なため、イニシアチブを握れるかどうかがポイントの一つになる。

その上で攻撃は、やはり大迫の強さに期待したい。彼がいかに前線で耐えられるか。コロンビア戦でもDFを背負いながら華麗に反転すると、シュートを放ったように、体をうまく使ったプレーはセネガルにも有効なはずだ。DFの裏を狙う動きも含め、パサーであるMF柴崎岳とのコンビでセネガルDFのスキを突きたい。また、大迫の決勝弾しかり、今大会の傾向としてセットプレーから多くの得点が生まれているように、セネガル戦でもセットプレーは生かしたい。

とはいえ、第1戦は、ほとんどの時間を数的優位で過ごしたことで、日本は有利に試合を進められた。そうした状況は簡単には起こり得ない。11対11の状況で勝ち点3、ないしは勝ち点1をとるには、相手よりも走力で勝る必要がある。交代出場する3枚のカードも含めて、試合終盤まで運動量を維持できるか。

歴史的ともいえる1勝を挙げた西野ジャパンだが、長友が「まだグループステージ突破が決まったわけではないので、もう一度、気を引き締めたい」と語るように、チームにおごりはない。コロンビアに続き、セネガルを打ち破る覚悟と準備はできているはずだ。

文/原田大輔

【放送スケジュール】

日本×セネガル

6月24日(日)

日本テレビ系 午後10:00~深夜2:30(生中継)
NHK BS1 午後11:00~深夜2:10(生中継)

6月25日(月)

テレビ朝日系 午前8:00~10:25(録画)
NHK BS1 午後8:00~9:50(録画)

【第13回】【W杯・日本VSコロンビア】柴崎&大島が攻撃のキーマン! グループステージ突破の鍵となる一戦

2018年6月19日(火)公開

写真:アフロ

6月19日、いよいよ日本代表がロシアワールドカップの初戦を迎える。同じアジア勢のイランがワールドカップで20年ぶりの勝利を飾り、人口約35万人の小国・アイスランドがアルゼンチンに善戦した姿を見て、次は日本も!と希望を抱いた人は多いのではないだろうか。

日本がグループステージ第1戦で対戦するのは、強豪・コロンビアである。コロンビアとは、前回大会のグループステージ第3戦で対戦して1−4と敗れた因縁がある。4年の月日を経て、日本は雪辱を果たすことができるだろうか。

ワールドカップ本番まであと2カ月という時期に、監督交代を決断した日本は、西野朗新監督の下、強化を進めてきた。壮行試合だったガーナ戦、続くスイス戦ではそれぞれ0−2で敗れたとはいえ、最後のテストマッチとなったパラグアイ戦では4−2と勝利した。2試合無得点だったが、パラグアイ戦では攻撃陣も爆発。MF乾貴士が2得点を挙げたほか、背番号10のMF香川真司も待望のゴールをマークするなど結果を残した。その後、キャンプ地からロシア入りした日本代表は、初戦で勝ち点を得るべく、入念にセットプレーの確認をするなど、着々と準備を進めている。

初戦となるコロンビア戦で、気になるのはやはりスタメン。西野監督は初陣で3バックをテストしたが、システムはパラグアイ戦で結果も出た4−2−3−1が現実的だ。そのパラグアイ戦で好パフォーマンスを見せた香川やMF柴崎岳の先発が濃厚と言われている。一方で、MF本田圭佑とFW岡崎慎司はベンチスタートになる可能性が高いと見られる。朗報としては、縦パスを供給できる存在として注目を集めるMF大島僚太が、全体練習に合流したことだろうか。ボランチはMF長谷部誠と柴崎を先発に推す声が多いものの、間違いなく大島は攻撃のキーマンとなるだろう。

MFハメス・ロドリゲスを筆頭に、コロンビアはFWにラダメル・ファルカオ、MFフアン・ギジェルモ・クアドラードと、攻撃力の高い選手を擁している。それだけに日本は司令塔とエースへのパスを寸断することが何より重要だろう。4年前もそうだったように、ハメス・ロドリゲスに自由を与えれば、わずかな隙を突いて決定的な仕事をされてしまう。1人ではなく、2人、さらに言えば組織で、しっかりと司令塔を挟むことができるか。そこには前線及び中盤での守備がポイントとなる。

劣勢に立たされる状況は多くなりそうだが、一方的に攻め込まれる展開にはならないだろう。コロンビアにも隙はある。西野監督就任後、コンビネーションを磨いてきたように、意図した形でゴール前にボールを運ぶことはできるはずだ。そうしたタイミングで、テクニックのある香川や乾が前を向いて仕掛けられるか。その好機を演出するのは柴崎、もしくは大島である。狭いスペースにパスを通せるパサーの存在が、得点の有無を決めることだろう。

また、両サイドバックを務めるDF長友佑都とDF酒井宏樹は突破力があり、コロンビアを相手にも深い位置まで侵入できるはず。その時、シンプルにクロスを上げるのもいいが、時にはマイナスにパスを出す、もしくはグラウンダーでパスをつなぐなど、日本の武器でもある俊敏性を活かした攻撃でゴールをこじ開けたい。

初戦で勝ち点を挙げることこそが、グループステージ突破を大きく前進させる。日本がワールドカップに出場した過去5大会を見ても、ベスト16に進出した2002年はベルギーに1−1と引き分け、10年もカメルーンに1−0と勝利している。一方、初出場した1998年はアルゼンチンに0−1、06年はオーストラリアに1−3、そして前回大会はコートジボワールに1−2と敗れている。初戦の重要性は、日本だけでなく、データであり、他国を見ても明らか。勝利、すなわち勝ち点3がマストではないが、その後の展開を考えた時、コロンビア戦で勝ち点1は獲得したい。

文/原田大輔

【放送スケジュール】

日本×コロンビア

6月19日(火)
NHK総合 午後8:45~11:10(生中継)

6月20日(水)
日本テレビ系 午前8:00~10:25(録画)
NHK BS1 午後7:00~8:50(録画)

6月23日(土)
NHK BS1 深夜0:00~1:50(録画)

前編はこちらから→ 「2018 FIFAワールドカップ ロシア大会」注目ニュースまとめ《前編》

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