ニューヨークが拠点でも、新潟ともっとつながっていたい

「新潟を離れたからこそ見えてくる地元の素晴らしさ。これからもっと、新潟とのつながりを大切にしていきたいです」。新潟市西蒲区(旧巻町)出身ニューヨーク在住、女優・小山田サユリ。坂口安吾原作、手塚眞監督の映画『白痴』をはじめ、黒沢清監督『アカルイミライ』、篠原哲雄監督『オー・ド・ヴィー』など、数々の作品に出演。拠点をニューヨークに移してからは、レディー・ガガと共演したりグローバル企業のCMに出演したり、また、自身のブランド「SY;by Sayuri Oyamada(サイ バイ サユリ オヤマダ)」もインターネット限定で展開したり、アーティストとしての活動範囲を広げている。そんな小山田が久しぶりに日本へ、新潟へ、一時帰国。新潟のこと、ニューヨークのこと、ショービジネスのこと、そして、これからの活動についてお話を聞きました。

ニューヨークが拠点でも、ものづくりは新潟がいい

「『SY;by Sayuri Oyamada』を立ち上げて一年。初の展示会(2019年9月14日、15日新潟市東区のクロスパークにて開催)を新潟で実現できたことがうれしいです。この展示会をきっかけに、ハンディキャップを持つアーティストとコラボレーションをしたエコバッグも作りました。間もなく販売されます」。2018年3月にアメリカで立ち上げ、日本国内で展開している「SY;by Sayuri Oyamada」。自身のブランドは、ある思いからはじまった。「ニューヨークにいると『新潟とつながっていたい』という思いが日に日に強くなってきて…。実は私、新潟Tシャツ委員会の委員長を務めさせていただいています。自分で応募したんですよ(笑)。そして、私のブランドの商品は新潟で作られています。ものづくりは新潟ですよね」。アメリカでもデザインした絵をTシャツにプリントして販売はできる。しかし、ものづくりの裏側にある職人との絶妙なやりとりは、新潟の人との相性が一番いいという。「メールだけのやりとりでも、ちゃんと意図をくみ取ってくれます。プリントのクオリティーも高く、細部にわたって丁寧。ニューヨークにいても安心です」。Tシャツ、スウェット、パーカに描かれているデザインには特別なメッセージが込められ、それぞれの商品ページで紹介されている。「例えばユニコーン。これはユニコーン好きの甥っ子へ向けた私の愛を込めています(笑)」。

その先に見えている、本当にやりたいこと

「SY;by Sayuri Oyamada」は小山田にとって、本当にやりたいことをかなえるためのステップであるという。「新潟ともっと関わりたいので、夢実現へ向けて準備を進めています。まだ詳しくはお伝えできなくて申し訳ありません」。ほんの少しだけ教えてもらったのは、日本の伝統、文化、歴史をクリエイティブなものに変化させ、ライフスタイルとして取り入れられるモノを生み出すという。もちろん、ニューヨークから見た新潟の美しさも表現される。「ほかにも、やりたいことのアイデアはたくさんあるんですよ」。

NYのインディペンデントに自然と魅せられていく

拠点を東京からニューヨークへ。きっかけは文化庁の新進芸術家海外派遣制度だった。9カ月ほどの滞在は毎日があっという間に過ぎ、気がついたら帰国の途へ。仕事もコネクションも少しずつ築けてきたところだった。「演技の勉強や語学習得と、学ぶべきことがとても多く、濃厚な9カ月でした。その後は、生活と仕事のため、日本とニューヨークの往復がしばらく続きました」。アメリカでの映画業界といえばハリウッド。ニューヨークを拠点にしたのはその土地の文化や芸術の考え方もあったという。「アメリカの映画はハリウッドであるとみんなが思います。しかし、私が滞在していたニューヨークは、80年代からインディペンデント映画で盛り上がっている街。私もそのムーブメントに魅せられたひとりです」。

自分の意思をちゃんと強く持つことの大切さ

日本とアメリカでまったく違うことと言えば契約について。所属事務所主体で動くことが多い日本に対して、アメリカでは全部自分次第。売り込むための資料作成やマネジメント、宣伝方法など“自分がどうしたいか”が軸となる。そして、法律家、マネジャー、宣伝担当を自分で探して契約する。「まず、契約書の厚さがまったく違います! 分厚いんです! ちゃんと自分でサインをして、契約内容を確認することが当たり前です。また、移動手段からロケ中の対応や待遇まで、アーティストを保護する協会もありますから、すべて守られています。それに、女優といっても、いろいろなことをするのが当然。自分のプロダクションを持ったり、レストランを経営したり、みんなチャレンジしているんですよ」。

小山田が感銘を受けたアーティストがいる。音楽だけでなく、映画やファッションでも活躍しているレディー・ガガだ。「ご一緒させていただいて、一気にファンになりました!」。業界は違ってもアーティスト同士のマインドは通じるところがある。ロケ中にガガと話をしていると、アーティストとしての印象深い姿が見えてきたという。「プロフェッショナルとしての仕事に対する姿勢であったり、自分の意見をしっかり持っていることであったり。若い人たちの才能を見いだし、起用しているんですよ。ガガの周りには若い人たちがたくさんいて驚きました」。

食べて!歩いて!お話をして!新潟をとことん満喫中

ところで久しぶりの新潟。新潟では何をしているのだろうか。「お団子です、お団子。そして枝豆も!毎日本当に美味しいものばかり食べて幸せです」。また、ニューヨークでも散歩をしている小山田は、新潟でも街を気ままに歩くこともあるという。「電車に乗ったり、古町や万代を歩いたり。学生時代に過ごした土地を見ると、やっぱり新潟が恋しくなる。新潟、ほんとにいいところです」。

最後に、地元・新潟へメッセージをもらった。「来年にはアメリカで出演したハリウッド映画『BASHIRA』が公開予定です。今後も女優だけでなく、いろんなことにチャレンジしていきたいと思っています。まだまだやってみたいことがたくさんあるんです(笑)。新潟の魅力を伝えられるようなプロジェクトも考えているので、楽しみにしていてください」。

小山田サユリ

新潟市西蒲区出身の女優。篠原哲雄監督『オー・ド・ヴィ』、行定勲監督『セブンスアニバーサリー』をはじめ、黒沢清監督『アカルイミライ』、堤幸彦監督『溺れる魚』などに出演。2010年から2011年まで文化庁 新進芸術家海外派遣制度の研修員としてニューヨークの演劇学校で演技を学ぶ。現在はニューヨークを拠点に、映画、CMなど、さまざまな活動をしている。

◆オフィシャルサイト
http://www.oyamadasayuri.com/

◆SY; by Sayuri Oyamada
https://shop.oyamadasayuri.com/

情報は掲載当時のものです。念のため電話で情報をお確かめになってからお出かけください。閉店店舗については、随時メンテナンスを行っています。間違いを通報する